こんな事件がありました。
或る日、平凡に暮らしていた成人女性が、突然自殺を試みました。
原因は、唄を聴いたから。
この世を去った恋人を想う美しい歌詞とメロディーに感化されたから。

こんな事件がありました。
或る日、たまには家族サービスをと接待を断り帰宅中のサラリーマンが、路上で青少年数名にリンチされました。
原因は、唄を聴いたから。
反社会と自己主張から来る暴力的な歌詞とメロディーに突き動かされたから。

これを重く見た政府は、「音楽規制法」案を提出、連続した事件を重く鑑み異例の早さで可決。
その内容は、「聴者に対して暴力的衝動、自害願望、反社会的行動その他、自他及び社会にとって傷害となる感情を引き起こされるであろう音楽を規制する」という、漠然としたものでした。

それから社会は「表現の自由」との対立だの規制することで闇市場に潜ったインディーズ音楽から更に事件が起こるだの
印税の入らなくなってしまった大物ミュージシャンが政治家として大成するだの色々ありまして、「今」。

世間に流れる音楽から、「歌詞」がとんと無くなりました。「音楽規制法」はその内容から、「歌詞」に対して適用されることがほとんどだったのです。
「歌詞」と共に「音楽」を聴きたい場合は政府の認可が降りた事務所が主催するライブのみ。

入場時に「この催し最中及び以降、法律に触れる行為を行ってしまったとして、それは音楽の所為ではありません」と書かれた念書にサインをして。

所謂ジャンクミュージックが淘汰された「今」、歌手に憧れ、田舎というかもはや大自然から上京してきた1人の女がおりました。
女はいい年こいて「今」を知りませんでした。

だから女は唄います。

すると色々巻き込みます。
芸能事務所「ジョニーズ事務所」の面々、革命家集団「日変会」に政界トップにマスコミに世論まで!
女は夢を叶えられるのか?

唄も演奏もダンスも殺陣も、全部盛りでお届けする物語、
この春ON AIR!